2009 年 8 巻 1 号 p. 36-39
Persistent serpentine supravenous hyperpigmented eruption(PSSHE)は,抗癌剤の投与において明らかな血管外漏出が無く,その刺入部から脈管に沿って線状,蛇行状に色素沈着を生じる疾患である。今回,我々はドセタキセルの点滴患者に生じたPSSHEの2例を経験した。生検した1例において,基底層のメラニン増加,色素失調,真皮上層の軽度の血管周囲性単核球浸潤が見られた。発症機序は抗癌剤の直接的細胞傷害性によって血管壁が傷害されることが考えられている。今後,抗癌剤の使用頻度の増加に伴い本症も増加すると思われ,症例の蓄積と発症機序の解明が必要と考えた。