皮膚の科学
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症例
顕微鏡的多発血管炎の1例 : 紫斑は自然消褪したが腎機能は悪化した
渡辺 智久立松 美穂神谷 受利
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キーワード: 顕微鏡的多発血管炎
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2009 年 8 巻 3 号 p. 303-307

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抄録

87歳,女性。2006年6月頃から下腿に紫斑が出現した。初診時に皮膚生検を行い壊死性血管炎の所見を得た。MPO-ANCAが陽性であり,急速進行性糸球体腎炎も発症したことから,顕微鏡的多発血管炎と診断した。16日後の再診時まで無治療で経過を見たところ,紫斑は自然消褪した。その後,腎機能悪化により透析導入となったが皮疹の再燃はなかった。顕微鏡的多発血管炎に伴う皮膚症状は初発症状としての出現率は高くなく,自然消褪する場合があり,一般的に全身ステロイド療法によく反応するため,機会を逃すことなく皮膚生検を行うことが診断確定のため重要と考える。

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© 2009 日本皮膚科学会大阪地方会・日本皮膚科学会京滋地方会
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