皮膚の科学
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症例
塩酸バンコマイシンにより誘発された線状IgA水疱性皮膚症の1例
林 真帆鈴木 聡橋本 隆堀口 裕治
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2009 年 8 巻 3 号 p. 325-330

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抄録

81歳,男性。脳梗塞治療中の誤嚥性肺炎に対して塩酸バンコマイシンを投与した12日後に口腔粘膜を含むほぼ全身に融合傾向を持つ浮腫性紅斑が多発し,その中に大小の水疱が多数生じた。組織学的に表皮下水疱であり,蛍光抗体直接法で表皮基底膜部に沿って線状のIgAの沈着がみられ,1M食塩水剥離皮膚を用いた蛍光抗体間接法では表皮側に反応するIgA自己抗体が検出された。免疫ブロット法ではIgA抗体は230kDの分子量のタンパクに反応した。バンコマイシンにより誘発された線状IgA水疱性皮膚症と診断し,同薬剤の投与を中止してステロイド剤の内服を行ったところ,皮膚病変は速やかに消退した。本邦既報告6例のまとめをあわせて報告した。

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© 2009 日本皮膚科学会大阪地方会・日本皮膚科学会京滋地方会
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