皮膚の科学
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症例
皮膚コレステリン肉芽腫の1例
太田 安紀水野 可魚岡本 祐之
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2009 年 8 巻 3 号 p. 336-339

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抄録

57歳,女性。初診の3ヵ月前に左肘頭部の皮疹に気付いた。左肘頭部に直径約6mm大と4mm大の常色から淡紅色の可動性のよい結節を2個認めた。外傷の既往はなく,血液検査では脂質系を含め異常値はなかった。病理組織像では真皮内に肉芽腫性の病変があり,内部には紡錘形や円形の裂隙形成が見られ,それを巨細胞が貪食している像を認めた。偏光顕微鏡では重屈折性の板状結晶を認めた。以上より皮膚コレステリン肉芽腫と診断した。本疾患はこれまで自験例を含めて12例の報告があるが,肘頭部などの外的刺激を受けやすい部位での発症が多い。外的刺激により変性した組織から析出したコレステリン結晶に対する異物反応と考えられているが,現在のところ発症機序は明らかではなく,今後の症例の集積が期待される。

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© 2009 日本皮膚科学会大阪地方会・日本皮膚科学会京滋地方会
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