皮膚の科学
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症例
蛍光色素法(ICG)によるセンチネルリンパ節生検をおこなった悪性黒色腫の1例
松井 佐起種村 篤高橋 彩山中 隆嗣谷 守吉良 正浩片山 一朗田所 丈嗣磯ノ上 正明
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ジャーナル 認証あり

2009 年 8 巻 3 号 p. 345-350

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抄録

悪性腫瘍の手術治療は現在縮小傾向にあり,合理的なリンパ節郭清の根拠としてセンチネルリンパ節生検(sentinel lymph node biopsy;以下SLNB)の有用性が提唱されている。近年,外科領域において蛍光色素法を用いたSLNBが行われるようになっており,今回我々は背部中央原発の悪性黒色腫において色素法と蛍光色素法(インドシアニングリーン;以下ICG)を併用しSLNBを試みた。症例は51歳,女性。約30年前より背部中央に小指頭大の黒色斑をみとめ,半年前より急速に増大,隆起し,初診時一部にびらんを伴ったドーム状の紅色結節と周囲の黒褐色小結節をみとめた。臨床的に背部原発の悪性黒色腫と診断し,拡大切除術を施行した。同時に蛍光色素法を用いたSLNBを行い,両側腋窩への微小転移を同定し得た。同リンパ節は青色色素では染色されておらず,蛍光色素法は比較的手技が簡便であり,放射線被曝のないSLN同定法として有用であると考えた。

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© 2009 日本皮膚科学会大阪地方会・日本皮膚科学会京滋地方会
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