2009 年 8 巻 6 号 p. 781-784
54歳,男性。躯幹と上肢の紅色腫瘤を主訴に受診した。血清中の抗HTLV-1抗体が陽性であり,皮膚腫瘤部組織のHTLV-1プロウイルスDNAも陽性であった。骨髄にも末梢血液にも異常は認めず,その他の臓器病変も認めなかったため,成人T細胞白血病/リンパ腫(ATLL)の皮膚腫瘤型と診断した。VP-16の内服と腫瘤部への60COγ線の照射により,皮疹は消失した。その後治療を自己中断していたところ,約1年半後に四肢に丘疹と水疱が出現し,急性転化した。多剤併用化学療法を行ったが治療に抵抗し,肺病変により死亡した。ATLLに生じる水疱は病勢悪化を反映する症状のひとつとして注目すべき皮疹である。