皮膚の科学
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症例
Exophiala jeanselmei による黒色菌糸症の1例
南部 昌之藤井 俊樹阿部 真也河崎 昌子望月 隆
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ジャーナル 認証あり

2010 年 9 巻 2 号 p. 173-179

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抄録

72歳,男性。重複癌で腫瘍切除後,水疱性類天疱瘡を発症し,プレドニゾロン 18mgとシクロスポリン 50mg,5-フルオロウラシル 100mg を内服中である。2008年12月中旬,舗装道路で転倒後,左手背に自覚症状のない腫脹が出現した。2009年1月の受診時には左手背から左3,4指背にかけて褐紅色の腫脹を認め,その中に波動を触れる大小の結節が存在した。一部の結節は表面に痂皮が付着し,圧すると排膿がある。局所熱感はない。病理組織では真皮中層に好中球と組織球の浸潤を認め,PAS 染色で胞子連鎖を認めた。膿および痂皮の真菌培養で黒色短絨毛状真菌の発育がみられ,Exophiala jeanselmei と同定した。シクロスポリンを中止のうえ,塩酸テルビナフィン 125mg の内服と局所温熱療法を開始し,約1ヶ月で略治した。

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© 2010 日本皮膚科学会大阪地方会・日本皮膚科学会京滋地方会
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