皮膚の科学
Online ISSN : 1883-9614
Print ISSN : 1347-1813
ISSN-L : 1347-1813
症例
乳頭部に限局した原発性乳癌の1例
上岡 なぎさ奥村 恵子杉山 美紀子宋 寅傑保坂 浩臣
著者情報
キーワード: 乳癌, 乳頭部, 浸潤性乳管癌
ジャーナル 認証あり

2010 年 9 巻 5 号 p. 465-468

詳細
抄録

76歳,女性。2009年8月に左乳頭を強打後に同部が腫大し,硬結と疼痛が出現した。9月に近医で施行されたマンモグラフィでは異常所見はなかった。近医で肥厚性瘢痕の治療を行ったが軽快せず,当科を紹介され受診した。初診時,左乳頭は暗褐色調に腫大し硬結を触れたが,びらんや分泌物は認めなかった。皮膚生検にて腺癌であり,乳房超音波で乳頭直下に 6×6×4mm 大の不整形低エコーの腫瘤を認めた。造影 CT にて同部位に濃染結節がみられたほかは,遠隔転移などは認められなかった。乳頭に限局した原発性乳癌と診断し,胸筋温存乳房切除術を施行した。全摘時の病理所見では浸潤性乳管癌で,乳頭腺管癌の所見であった。乳頭部原発の乳管癌は稀であり,本邦では現在までに19例が報告されているのみである。

著者関連情報
© 2010 日本皮膚科学会大阪地方会・日本皮膚科学会京滋地方会
前の記事 次の記事
feedback
Top