1986 年 28 巻 5 号 p. 715-725
皮膚刺激性評価を行い低刺激性であることを認めた保湿製剤, すなわち20%尿素製剤 (医薬外用剤) と0.05%ピアルロン酸・グリセリン製剤 (化粧品) を当科における乾燥性皮膚症患者9例を対象に外用させ, 皮膚保湿効果について比較検討を行った。保湿効果は皮膚電気伝導度, 皮膚電気容量, 経皮水分喪失量の各測定結果と皮膚表面形態により評価した。その結果, 両製剤ともに塗布中は塗布前に比べて統計的に有意に優れた保湿効果を示し, 経皮水分喪失抑制能も同時に持ち合わせていることがわかった。さらに両製剤間の比較では, ヒアルロン酸・グリセリン製剤が有意に優れていることが明らかになった。また掻破痕を持つ入院患者での外用では, 20%尿素製剤塗布群で6例中3例に副作用が見られたが, ヒアルロン酸・グリセリン製剤塗布群での副作用は見られなかった。これらの結果より実地臨床の立場からはピアルロン酸・グリセリン製剤の方が使い易いことがうかがわれた。