皮膚
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アトピー性皮膚炎に対するADSクリーム (薬用アトスキンクリーム®) の使用成績
池澤 善郎北村 和子小松 平杉山 朝美大沢 純子
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1996 年 38 巻 1 号 p. 74-96

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抄録

スクワランやホホバ油を主体とするクリーム基剤に, 有効成分としてグリチルレチン酸誘導体及びアラントインを, また保湿成分としてピアルロン酸ナトリウムを配合したADSクリーム (薬用アトスキンクリーム®) を用いて, 軽度から中等度のアトピー性皮膚炎 (AD) 患者99名を対象とした臨床試験を実施し, その有用性について検討した。その結果, 全般改善度では, かなり改善以上で35.4%, やや改善以上で78.8%の改善率を得た。さらに, 個々の症状別の改善率を見ると, 特に乾燥及び鱗屑の改善率がそれぞれ78.4%と75.0%と高く, 瘋痒感や掻破痕の改善率もそれぞれ56.1%と53.1%と比較的高い改善効果が観察された。副作用は3例 (3.0%) に認められ, その内訳は, ピリピリ感1例, 瘋痒・潮紅・丘疹1例そして丘疹1例であった。全般改善度及び副作用を勘案した有用度では, 有用以上で42.4%, やや有用以上で75.8%と高い有用度を得た。
そこで, このADSクリームの皮膚生理状態に対する効果を非侵襲的に調べる目的で, 角層水分量 (皮表コンダクタンス), 経皮水分蒸散量 (TWL) 及び皮膚表面形態 (VC1: 皮溝放射状態の不均質性を表すパラメーター) について検討した。前述の試験とは別に, 軽度から中等度のAD患者23名を対象に, ADSクリームの4週間使用前後における皮膚生理パラメーターの測定と臨床試験を実施した。全般改善度では, かなり改善以上で43.5%, やや改善以上で73.9%の改善率を得た。さらに, 症状別の改善率は, 乾燥, 鱗屑や掻破痕で, 70.0%以上, 潮紅, 丘疹で60.0%以上, そして瘋痒感で50.0%以上であり, 99名の臨床試験とほぼ同様であった。一方, 皮膚生理パラメーターの結果において, 角層水分量は有意に上昇し (P<0.05), 皮溝の不均質性は低下し (P<0.05), 角層の生理状態の改善が認められた。また, TWLの平均値も有意ではないが, 使用前よりも若干低下する傾向が認められ, 角層のバリアー機能の向上が示唆された。
以上, このADSクリームは, AD患者に対する臨床改善効果並びに, 角層水分量, 皮膚表面形態の改善効果により, AD患者のセル7メディケーションとして用いるスキンケアクリームとして有用であると考えられた。

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© 日本皮膚科学会大阪地方会
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