1998 年 40 巻 4 号 p. 338-344
エレクトロスプレー質量分析法 (ESI/MS) は, 全分子のままで異常蛋白質を検出し, またアミノ酸変異決定に応用する事ができる。標準的分析機器の分解能 (10Da) より大きい質量数差があれば, 溶血液を直接分析する事によって変異ヘモグロビン (Hb) を迅速に検出できる。Hb以外の変異蛋白質を検出する目的には, 免疫沈降法が適しており, 血漿中, 赤血球中, 組織中の蛋白質に簡単に, 正確に応用できる。ESI/MSにより, 糖化Hbの再現性の良い測定をする事ができ, 他の手法によるHbA1c測定の精度管理に有用であろう。また悪性黒色腫特異抗原ペプチドの構造決定への, MSの応用について付け加えた。