1999 年 41 巻 1 号 p. 35-40
55歳, 男性。当科初診の約2年前より躯幹に米粒大の丘疹が出現し, 徐々に増数してきた。近医にて尋常性乾癬と診断されたが長期間通院せず, 独自に民間療法を続けていた。当科初診の5ヵ月前から急激に皮疹が拡大し, 心不全徴候を伴う紅皮症状態となったため当科を受診した。拡張型心筋症と, 全身皮膚の細菌感染を合併しており治療に難渋した。ベタメタゾン2mg/日の内服にて皮疹は速やかに改善した。紅皮症改善後の新生皮疹の病理組織像, 蛍光抗体法, ELlSA法, および免疫沈降反応の結果から本症例を落葉状天疱瘡と診断した。紅皮症時の病理組織像からはneutrophilic spongiosisを示す天疱瘡であった可能性も示唆された。