皮膚
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砒素混入毒物カレー事件の被災者にみられた急性期の皮疹
上出 康二塩谷 昭子
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キーワード: 急性砒素中毒, 皮疹
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1999 年 41 巻 5 号 p. 511-517

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抄録

平成10年7月25日和歌山市園部地区の夏祭り会場で出されたカレーに砒素が混入された事件の被災者で急性期に皮疹が認められた3名について報告した。症例1: 31歳男性。第6病日に肝機能異常の出現と同時に両腋窩, 両股部, 下腹部に点状赤褐色丘疹が左右対称性に集籏して認められた。病理組織学的に血管周囲に稠密なリンパ球の浸潤があったが汗腺などの付属器には異常は認められなかった。症例2: 17歳男性。第6病日に肝機能異常の出現と同時に両大腿, 両肘窩に左右対称性に症例1と同様の皮疹が認められた。組織学的にも症例1と同様であった。症例3: 48歳男。第12病日より四肢末端の葉状落屑が認められた。砒素暴露3ヵ月後の23名の検診時の問診から, 急性期にみられた皮疹は紅色丘疹を示した症例が6名, 顔面浮腫3名, 水痘様皮疹が3名, 指趾尖の落屑3名, 紅皮症が1名であり, 経口亜砒酸推定摂取量との関連性はみられなかった。(皮膚, 41: 511-517, 1999)

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