皮膚
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瘢痕部に誘発されたトシル酸トスフロキサシン (オゼックス®) による固定薬疹の1例
馬場 圭子荻堂 優子東山 真里
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2000 年 42 巻 2 号 p. 153-157

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抄録

61歳, 女性。数年前より, 顔面, 上肢のはぼ同一部位に疼痛を伴う紅斑が年に数回出没し色素沈着を残して軽快した。膀胱炎のため近医にて種々の薬剤を投与され, 自己判断にて内服していた。初診時, 上口唇, 頸部, 左耳, 左前腕, 及び右上腕の種痘後瘢痕部に拇指頭大までの暗紅色斑を認めた。貼付試験では無疹部, 皮疹部共に陰性であった。内服誘発試験でオゼックス150mg内服2時間後より症状が出現した。同時に外傷後瘢痕部にも新たに同様の紅斑が誘発された。オゼックスによる固定薬疹の報告は自験例を含め4例と稀である。瘢痕部に固定薬疹が誘発された点について若干の文献的考察を加えた。

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© 日本皮膚科学会大阪地方会
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