皮膚の科学
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遺伝性皮膚疾患の遺伝子III
メラニン産生とメラノサイトの異常
喜多野 征夫
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2002 年 1 巻 4 号 p. 261-267

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抄録

白皮症はさまざまな原因による疾患の集団である。チロシナーゼ関連型 (OCA-1) はチロシナーゼ陰性型 (OCA-1A) と黄色変異型 (OCA-1B) に分けられ, チロシナーゼ遺伝子に見られる変異によって決定される。眼皮膚白皮症のなかでチロシナーゼ活性の保たれている疾患群では, メラノソームの構造, メラノソームヘの物質の移送に関連する蛋白質の異常が認められている。OCA-2はp蛋白の異常による疾患であり, OCA-3はチロシナーゼ関連蛋白1 (TRP-1) の異常による疾患であり, OCA-4は膜を通過する物質の輸送に関与すると考えられる“membrane-associated transporter protein (MATP)” の異常による疾患である。Hermansky-Pudlak症候群とChediak-Higashi症候群ではtrans-Golgi-network (TGN) あるいは貪喰空胞あるいはリソゾームからの蛋白質の分別と移送に働く蛋白質の異常が認められている。限局性白皮症はc-kit遺伝子の変異による疾患であり, メラノサイトの成熟過程に異常が起こると考えられる。

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© 日本皮膚科学会大阪地方会・日本皮膚科学会京滋地方会
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