バイオメカニズム学会誌
Print ISSN : 0285-0885
研究
ローイング時の内的仕事に対するエネルギー消費量の定量方法
白井 祐介丹治 史弥高山 史徳鍋倉 賢治
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2016 年 40 巻 3 号 p. 195-203

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抄録

ボート漕ぎ運動(ローイング)とは,身体を前後方向へと移動させつつ,ハンドルを後方へと牽引することによって艇 を推進させる運動である.そこで本研究では,身体そのものを前後方向へと移動させる仕事(内的仕事)に対するエネルギー代謝量を定量する方法について検討を行なった.男子大学ボート選手10 名を対象とし,異なる発揮パワー条件(LT 時の発揮パワーの90 および100%,空漕ぎの3 条件)にて,それぞれストロークレートのみを増加させ,それぞれ加速度センサによって評価した身体活動量と酸素摂取量(VO2)の関係を比較検討した.その結果,いずれの条件においても,ストロークレートの増加に伴って身体活動量および(VO2)は増加し,さらに両者の間には強い直線関係(相関係数が0.9 以上)が認められた.また,回帰直線の傾きは,空漕ぎ条件においてのみ他の2 条件と比較して有意に高い値を示した.本研究の結果から,身体活動量はローイング時の内的仕事に対するエネルギー代謝量を推定するうえで有用な指標であることが示唆された.

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© 2016 バイオメカニズム学会
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