社会問題の解決を図る際, 立案された解決策を社会に導入した場合の影響をあらかじめ把握することは, 解決策の実現可能性や有効性を評価し, 社会への実装に際しての課題を検討するために有効である. また, 解決策の立案から導入までの合意形成を支援したり, 複数の解決策の候補を評価するためにも有効に活用できる.
このような観点から, 本研究では社会問題の解決策に関する社会への影響を分析するための手法について現実の問題への適用を試みた. 社会問題の解決策の例として, 既存不適格住宅の耐震性向上に関する新制度の提案を取り上げ, 制度導入時に予想される効果と限界を把握した. この結果を踏まえ, 社会問題の解決策に関する影響分析手法の有効性について検証し, 本手法の可能性と今後の課題について示した.