ある社会問題の解決策を, 全てのステイクホルダーにとってより望ましい形で設計・実装するためには, その解決策がもたらす社会状況の変化に対する「多様なステイクホルダーによる, 多様な論点に対する, 多様な評価」を明示化し, 評価の対立関係やその根拠となる判断基準・価値基準を的確に把握する「多元的評価」手法の開発が必要である. 本検討では, 「多元的評価」を支援する技術として, T. Kohonenが開発した自己組織化マップに着目し, 「診療ナビゲーションシステム」を題材としたケーススタディを通じ, 同マップの有用性を確認した. さらに, 「多元的評価」により把握された評価の対立やその根拠に基づき, 診療ナビゲーションシステムの開発の方向性や実装の方針について, 提案を試みた.