2004 年 2 巻 p. 78-88
国際開発プロジェクトの実施にあたっては、利益集団間の利害衝突がしばしば深刻な問題となる。本研究では、そのような状況での交渉を支援するための手法を考案した。本手法の特徴は、それぞれの当事者が争点や相手の発言・行動に対してどのような認識を持っているのかという情報を、仲介者に提供することにある。考案した手法は過去の開発事例に適用された。事例分析では、議論ツリーと意思決定マトリックスを用いて争点の全体像を明らかにした。さらに、認識表とハイパーゲーム理論を用いて当事者の選好と戦略を分析することで、各プレーヤーの協力行動を阻む「認識の齟齬」を発見した。本事例研究により、構築された手法が実際の交渉支援に適用可能であることが示された。