近年,価値観の多様化や問題の複雑化により解決が困難となっている社会問題の1つにインフラ整備などにおける沿線住民との合意形成の難航がある.本研究では,この合意形成を円滑にするための手法として,沿線住民の事業に対する意識構造の全体像を把握するためのモデルを構築することで,個々の対策方法の影響評価を可能にすることを目的とした.インタビュー調査により得られた沿線住民の意識変化過程から反対運動に参加するまでの意識変化構造を扱った「住民行動選択モデル」と反対運動を通じて満足感が形成されていく要因を規定した「満足度形成モデル」を構築した.この各モデル内のパス係数を比較することで対策の効果比較が,要素の順序をみることで適切な実施順序を推測することが可能となった.