本稿の目的は,再生可能エネルギーを用いた技術システムの形成が,それに関与する諸アクターによる集合的意思決定過程によって,いかなる影響を受けるのかを実証的に検証することにある.本研究の分析のための素材は,わが国の地方自治体において取り組まれた,木質バイオマス・エネルギーの導入プロジェクト2つを対象とした事例調査から得た経験的知見である.本稿では,木質バイオマスを用いたエネルギー技術システムの特性を念頭に,多様なアクターの利益やインセンティブがいかにコーディネイトされ,アクターによる適切なコミットメントがいかに確保され得るのかを分析した.