2012 年 9 巻 p. 120-130
2001年9月のBSE(牛海綿状脳症)発生以降,わが国では食品表示や食品安全の問題がまたしても顕在化した.2007年に農林水産省及び警察庁は「食品に係る偽装表示事案対策に関する連携強化」を発表した.
その後,総務省は,「食品表示に関する行政評価・監視」を実施し,2010年9月,農水省等に対して「勧告」を行った.その勧告の中で「今後は,立入検査の権限を行使し事実を検証する必要性を考慮し」調査を実施する必要性を所見した.しかし,(1)農水省が現状よりも強権的に調査をするならば,憲法上の問題が発生する可能性がある.(2)農水省及び警察庁の連携が現状よりも強化されるならば,同様の可能性がある.(3)総務省の勧告は効果が見込めないこと,などを明らかにした.