測地学会誌
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気差により轡曲した光路の曲率半径の最小二乗法による決定
斎藤 努
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1974 年 20 巻 1-2 号 p. 1-17

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抄録

 気差により弩曲した光路は,実用上円弧の一部と見倣せる.その曲率半径を近似的に表す式の係数を,弧長測量(人工衛星の位置決定のための基線の設定を目的とし,略々子午線に沿った大地測量的規模のトラパース測量)の鉛直角観測の成果を用いて最小二乗法により決定した.このトラバース測量が大地測量的規模であるために,鉛直角を表す式については,鉛直線偏差を考慮した三次元測地学の式を用いた.準拠楕円体として,現行のべッセル楕円体及び測地原点に拠る外に,他に2種類の楕円体及び測地原点の各々について計算を行った.その結果,鉛直角観測の時刻に関して,昼と夜,夫々の観測値から計算した各係数の大きさの間に差があることが統計的に検証された.然し,このことは,三種類の楕円体の中で,日本列島で観測された天文一測地鉛直線偏差より導出した最適楕円体を適用した場合にのみ現れる事実であることが,三種類の楕円体による結果を比較することにより判明した.

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