測地学会誌
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GPS連日測定による日本周辺のプレート運動の検出
辻 宏道
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1995 年 41 巻 1 号 p. 47-73

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抄録
 国内4ヶ所のGPS追跡局で得られた非Pコード型受信機による連日測定データを,ジェット推進研究所(JpL)の解析ソフトウェアGIPSYと,JpLが全世界追跡データから決定した精密暦を用いて,自動処理するシステムを構築した.1,000km基線に対する測定誤差は南北成分が5mm,東西成分が20mm,上下成分が25mmとなり,10-8レベルの高い測位精度を達成している.筑波(TSU)局を基準とする1992年7月から1994年9月までの約2年間にわたる基線解析から.テクトニクスに関する次の知見を得た.1993年7月の北海道南西沖地震の際に,震源の東北東約200kmにある新十津川(STK)局が南に1cm,西に3cm変位した.これは断層モデルによる予測値と一致する.VLBI測定で求められたTSU局の北米(NA)プレートに対する運動を仮定し,GPS測定で得られた各局のTSU局に対する運動を最新のプレート運動モデルと比較したところ,ユーラシア(EU)プレート上の鹿屋局(KNY)およびフィリピン海(PH)プレート上の父島(CCJ)局では,実測値と予測値は1cm/年程度で一致した.CCJ局のわずかな残差速度はCCJ局西方のIzu-Bonin Arcの拡大が測定にかかるほど大きくないことを示唆している.九州南部にあるKNY局は,南南東に0.5cm/年程度の残差速度を持っが,この運動はVLBI測定で指摘されている上海の東進と調和的である.
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