測地学会誌
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超伝導重力計を用いた南極・昭和基地における1年間の重力連続観測
佐藤 忠弘渋谷 和雄田村 良明金尾 政紀大江 昌嗣岡野 憲太福田 洋一島 伸和名和 一成神沼 克伊井田 喜明熊沢 峰夫行武 毅
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1995 年 41 巻 1 号 p. 75-89

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抄録
 1993年3月22日,南極・昭和基地(69.0°S,39.5°E)において超伝導重力計(GWR社,モデルTT70,SCG#016)を用いた重力連続観測が開始された.超伝導重力計の汎地球観測網のデータを用いて,流体核共鳴,コアアンダートーンやシュリヒターモードの検出ができるのではないかと期待され,南半球高緯度に位置する昭和基地の役割は大きい.昭和基地においてはラコステD型重力計,STS-1型広帯域地震計による連続観測も継続されており,IDA網標準記録との対応や超伝導重力計の地震計としての特性比較などが可能である.1年間(1993年3月22日一1994年3月21日)の重力潮汐記録解析によると,従来の3ヵ月記録から求められたδ ファクターとほぼ同様の結果が得られ,半日周潮のδ ファクターがDehant-Wahr理論より10%大きいことが再確認された.BAYTAP-G解析により抽出されたドリフト率は0.06Fugal/dayである.モード出力の典型的な雑音レベルは5-20ngalで,北海道南西沖地震(1993年7月12日,マグニチュード7.8)やマリアナ沖地震(1993年8月8日,マグニチュード8.2)による地球自由振動の良質な記録を捕らえており,昭和基地データが今後の地球中心核研究に威力を発揮することが期待される.
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