三次元有限要素法を用いて琉球弧をモデル化し,粘性流体媒質中の定常流の仮定下で流れ及び応力場を計算した.背弧直下に想定される低密度媒質及び一般的なプレート運動の原動力の背弧拡大に対する効果,地殻粘性率の影響について考察した.解析の結果,スラブ引っ張り力やリッジプッシュ等のみを考慮したモデルでは背弧地域に圧縮場を形成した.一方,背弧直下での低密度媒質に働く浮力を考慮した場合,背弧における拡大を示唆する張力場が得られた.背弧直下の低密度媒質は地殻付近の深さまで到達している可能性が高く背弧拡大の主原動力と考えられる.さらにマントルの粘性率と背弧領域の地殻粘性率との差が小さい時,すなわち相対的に軟らかいプレートを仮定した時に拡大が生じた.