1986 年 19 巻 4 号 p. 61-73
これまで技術に関する問題は,企業の戦略という点からすると,どちらかと言えば外生的な問題として扱われてきた.すなわち,技術は企業にとって所与の事業展開を補助するものとして重視されてきた.しかし,本稿においては,技術が製造企業に対してもっている多大な重要性に鑑みて,事業展開が技術そのものの発展の可能性に即して計画されるという側面に注目する.すなわち,いわば技術主導型の戦略展開を想定している.このようにしてみたとき,技術革新活動において経営組織がさらされている独特な問題が明らかになってくる.