1987 年 20 巻 4 号 p. 2-32
高宮晋先生は,半世紀にわたって,経営学――組織論を中心に,社会科学者として活躍された.先生は,組織学会を中心に,理論的指導者としてたえず積極的に問題を提起されると共に,企業経営の実践にも少なからぬ影響を与えられた.このような高宮経営学――組織論をたえず刺激しつづけた,客観的要因は,半世紀にわたる国際社会における日本の社会・経済・経営の激動であった.高宮経営学は,この半世紀の動きを,企業の経営の組織を基軸に,主体的に把え,分析された結晶であった.そしてその基底に,一貫した人間(性)への強い想いがあった.本稿は,このような高宮経営学――組織論の主張を,主著を中心に浮彫りにしようとするものである.