2009 年 42 巻 4 号 p. 37-49
本稿は,製品事業のサプライ・チェーンにおける位置取り競争に直面した企業が,本業の製品事業に付随するサービスの提供によって優位性を獲得していることを示し,製品とサービスの融合による企業の競争優位構築の可能性について検討する.本稿では台湾の半導体製造企業であるTSMC社とフランスの家電量販店であるFNAC社の事例をもとにこれらの議論を行う.我が国の産業が,依然としてものづくりの強み持ちながら十分な収益を獲得できない現状に対して,製品・サービスの一貫した取り組みによる価値獲得の方策を示唆する.