本稿では企業の法的形態,すなわち会社形態のあり方について,組織論の視点から検討する.従来,企業の法的形態については資金集中やガバナンスなどの面からの検討が主であり,事業を実際に行う組織との関係はあまり考えられてこなかった.しかし,近年の会社や法人の研究では,財・サービスを生み出す基盤としての組織に注目が集まっている.本稿では,組織と法人格との関係,及び出資者の役割の検討を通じて,組織の自律性を保護しつつ制禦するものとしての会社形態の機能を明らかにし,そこから法的制度である会社と経済活動である事業とを組織という媒介変数で結びつけることで,組織科学にとっても重要な研究分野が広がることを示す.