2018 年 52 巻 2 号 p. 33-46
日本企業の職場と人事管理に関する2つの変化について2時点で収集されたデータを用いて,ソーシャル・キャピタルと人事管理施策が職場業績に与える影響を検討した.分析の結果,ソーシャル・キャピタルが職場業績に影響を与えることが確認され,さらにソーシャル・キャピタルの規定要因として能力開発施策が有効であること,さらに予想に反して成果主義施策がソーシャル・キャピタルに正の影響を与えることが明らかになった.このことからソーシャル・キャピタルの形成においては,これまで人事管理で整合的とされていた内部育成と年功的処遇の組み合わせではなく,内部育成と成果主義という組み合わせが合理性を持つことを指摘する.