島根県立中央病院医学雑誌
Online ISSN : 2435-0710
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原発性肝細胞癌を発症したリンチ症候群疑い大腸癌の一例
川上 耕史森岡 三智奈佐々木 将貴福本 実希子佐倉 悠介山川 達也服部 晋明小山 幸法武田 啓志金澤 旭宣
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2020 年 44 巻 p. 21-25

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抄録

リンチ症候群は,最も頻度の高い遺伝性大腸癌であり全大腸癌の1-4%をしめる1).大 腸癌の家系内集積や若年発症,多重がん等の臨床的特徴をもつ.原因遺伝子はDNAミスマッチ修復 遺伝子であり,リンチ症候群の腫瘍組織は高頻度マイクロサテライト不安定性(MSI-H)を示す. 一方でBRAF V600E変異はリンチ症候群にはほとんど認められないことより,リンチ症候群が疑わ れる大腸癌に対してはBRAF遺伝子変異(V600E)の陰性を確認することで,散発性大腸癌を除外し, 症例の絞り込みが可能2)である.  今回我々は,若年で発症したBRAF V600E変異陰性のMSI-H大腸癌の術後経過観察中に,原発性 肝細胞癌を発症した症例を経験したので文献的考察を加え報告する.

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