2020 年 44 巻 p. 27-32
症例は62歳,男性.肺扁平上皮癌に対する化学療法として,ペムブロリズマブが導入さ れた.導入26週後の2018年1月初旬から下痢,粘血便を認め,同年2月に当科に紹介受診された. 下部消化管内視鏡検査にて潰瘍性大腸炎に類似する発赤浮腫状粘膜,血管透見の消失,小びらんを 認めたが,非連続性であり潰瘍性大腸炎としては非典型的であった.免疫関連有害事象によるもの と判断し,ステロイド治療を開始し,臨床症状,内視鏡所見とも改善した.免疫チェックポイント 阻害剤による大腸炎は使用頻度の増加に伴い経験することが多くなると予想され,鑑別すべき疾患 も多く,内視鏡像,病理所見,臨床経過などを踏まえ,総合的に診断する必要があると考える.