自殺予防と危機介入
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Print ISSN : 1883-6046
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東京大学医学部附属病院において救急搬送後に精神科医が診察を行った患者の特徴—精神科急性期医師配置加算新設に伴って明らかになった救急診察の実態報告—
松原 丈二増田 康隆小畑 聡美青木 智乃紳熊倉 陽介山名 隼人市橋 香代近藤 伸介笠井 清登
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2021 年 41 巻 1 号 p. 32-38

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抄録

救急医療と精神医療の連携を図るため平成28年度診療報酬改定で精神科急性期医師配置加算が新設された。有床総合病院精神科にとって大きなインセンティブとなったが、同加算の評価に関する報告は乏しい。本研究では平成28年4月から平成31年3月の間に東京大学医学部附属病院へ救急搬送後、同加算の枠組みのもとで12時間以内に精神科医が診察を行った患者を対象に診療録を用いた後方視的分析を行った。対象325例中164例に自殺企図または自傷行為が認められた。精神科受診歴がない患者30例のうち21例に自殺企図が見られ、自殺企図の症例では複数の手段を用いた事例が13.6%で見られた。精神科入院に至った患者は既報に比べ少なかった。本研究から、同加算の導入以降、未受療者や軽傷者を時間外でも速やかに精神科診察につなげられていることが示唆された。

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© 2021 一般社団法人日本自殺予防学会
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