2008 年 1 巻 1 号 p. 97-114
介護労働者の問題は近年急速に注目されている。その労働条件,環境は快適ではなく,ときには劣悪なので,短期に離職する者が後を絶たず,現場では人手不足が生じている。この研究の目的は,離転職意思を形成する背景を分析しているが,とりわけバーンアウトに陥ってしまう介護労働者の諸要因を分析することによってその対処法を提言することにある。先行研究をふまえ,介護労働を行動面から分析する新しいモデルの構築に取り組んだ。調査では福岡県の203名の介護労働者を対象にし,バーンアウトの構造と離職行動の背景について,価値観・信条性格特性(5因子モデル),組織コミットメント,入職後の期待とのギャップ,上司や同僚利用者との役割葛藤などを関連づけながら分析した。