社会政策
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地域社会のなかの慈善組織協会 : 20世紀初頭リヴァプールにおける家族給付をめぐる論議と活動
赤木 誠
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2008 年 1 巻 1 号 p. 128-139

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抄録

本稿は,20世紀初頭リヴァプールにおける家族給付をめぐる論議と活動を検討することで,地域社会における慈善組織協会の機能を描出するものである。地域の慈善資金の一元的管理に限界を感じたリヴァプール中央救済・慈善組織協会(CRS)は,地域での影響力を維持するため,20世紀初頭,他の慈善団体や救貧法当局との連携を図った。CRS内部では,執行部と友愛訪問員が貧困観の相違から対立していたが,調査等によって家族給付の必要性を認識したE・ラスボーンの活動の結果,両者は家族給付をめぐる救貧法当局への働きかけという点で協力し,当局の給付水準の見直しを実現した。E・ラスボーンは,救貧法の枠組みを重視した家族給付を志向していたが,自らの調査の結果,国家による家族給付構想を展開した。CRSは20世紀初頭に地域社会のなかで家族給付を推進する主体として機能した。以上からリヴァプールの事例は,家族手当の起源の1つとみなすことができる。

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© 2008 社会政策学会
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