2022 年 13 巻 3 号 p. 57-66
新型コロナパンデミックは2年以上に渡って人類社会に多大な影響をもたらしてきた。未曾有の危機であるにもかかわらず,人類社会は適切に対処できているとは言い難い。WHO(世界保健機関)を舞台として米中の対立は一層激化しているし,ワクチンをめぐる格差も埋まらない。本稿ではその背景としての,グローバル保健ガバナンスの課題を歴史や構造といった観点で検討する。前半で,国際保健協力が歴史的に国際協調とどのように関わり合ってきたのかを振り返る。後半では新型コロナをめぐる国際社会の対応を概観し,今後,流行の収束に向けてどのような対応が求められるのか,論じていく。