社会政策
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最低賃金制度と生活保護制度 : 仕事への報酬と生活保障の整合性(<特集>最低賃金制度と生活保護制度-仕事への報酬と生活保障の整合性(第119回大会共通論題))
岩田 正美
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2010 年 2 巻 2 号 p. 5-12

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抄録

ワーキング・プアへの関心の高まりとともに,最低賃金制度と生活保護制度の水準の整合性が議論を呼んでいる。この議論は,単にその整合性を測る上での技術的な問題だけでなく,仕事への報酬と生活保障の関係をより本質的に問うものである。本稿では,この整合性の議論の前提として,以下の二点に留意すべきことを示した。(1)最低賃金と生活保護,あるいは他の所得保障の水準は,その背後にある労働者生活の標準型の成立と深く関わっており,その標準の崩壊が指摘されている今日においては,それぞれの制度の水準の擦り合わせだけでは,そのあるべき方向性を見いだしにくい。(2)これらの制度の水準が貧困解決に寄与する程度は,労働時間の長さや労働の規則性,および制度のカバーする範囲や給付対象の限定に影響されている。したがって「仕事への報酬」にウエイトを置いてその生活が成り立つようにする政策と,逆に生活保障にウエイトを置いていくべき状況を,労働時間で区分していくことが,ここでの整合性の問題への現実的なアプローチとなるかもしれない。

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© 2010 社会政策学会
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