社会政策
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保護基準とはいかなる意味をもつ基準か : 生活扶助基準算定方式と標準世帯(<特集>最低賃金制度と生活保護制度-仕事への報酬と生活保障の整合性(第119回大会共通論題))
岩永 理恵
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2010 年 2 巻 2 号 p. 22-32

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抄録

本稿は,生活扶助基準の算定方式と標準世帯に着目し,保護基準を歴史的に検討したものである。まず最近の議論から,現在の公式の生活扶助基準算定の理論と標準世帯の意味を確認した。次に,マーケットバスケット方式,エンゲル方式,格差縮小方式,水準均衡方式という算定方式と標準世帯の変遷をたどり,保護基準の実体を検討した。結果として強調したいのは,現行の基準額が最低生活費である根拠として明らかなのが,無業の成人からなる世帯の栄養所要量の充足のみなことである。基準額が引き上げられてきたことを過小評価すべきではないが,現行の保護基準にこれ以上の意味内容を見出すことはできない。保護基準は改定を繰り返してきて,最低生活の実体を失っている。生活保護が,社会状況の変化にあった最低生活保障としての役割を果たすために,保護基準の再検討が不可欠である。

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© 2010 社会政策学会
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