社会政策
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Print ISSN : 1883-1850
国際的パースペクティヴから観た最低賃金・社会扶助の目標性(<特集>最低賃金制度と生活保護制度-仕事への報酬と生活保障の整合性(第119回大会共通論題))
山田 篤裕
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2010 年 2 巻 2 号 p. 33-47

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抄録

日本は最低賃金と社会扶助の水準が比較対象国の中で最も接近している。社会扶助(生活保護)の水準のみに注目した場合,日本はかなり高い方に位置するが,諸外国では,家族給付(給付つき税額控除を含む)および住宅給付が社会扶助とは別途存在しているため,それを勘案すると日本は中程度の水準であり,社会扶助のみに注目することはミスリーディングな政策を誘導する危険性がある。また政府による最低所得基準を最低賃金として具体化させ,そこを出発点として社会保障給付や社会扶助に展開させている諸外国と比較すると,社会扶助から最低賃金あるいは老齢最低所得保障へという日本の展開方向は逆向きになっている。さらに日本では最低賃金の影響も社会扶助の捕捉も比較対象国の中で最低であり政策の実効性としても弱い。今後の研究課題として,標準生計費調査等を利用した社会扶助水準の構成要素間のバランス再検討が挙げられる。

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© 2010 社会政策学会
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