社会政策
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地域主体の地域振興 : その持続性と包括性(<特集>地域の生活基盤と社会政策-社会政策学会第120回大会共通論題)
辻田 素子
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2011 年 2 巻 3 号 p. 39-54

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抄録

生産,労働,生活などの場が折り重なる地域社会は以前にも増して,自律的に地域を経営する必要に迫られている。それは,グローバル経済のもとで,産業の振興や雇用の創出,生活基盤の整備といった諸課題に取り組みながら,最終的に持続的な生活の質向上を目指すという難題である。しかしながら,課題解決に向けた糸口がないわけではない。先進国を中心に進む知識経済社会は,歴史,文化,知識といった非物質的なものに高い価値を置くようになり,そうした価値の創出には,人や,人と人とのつながりが決定的に重要になっている。地域社会は,地域が有する人材の育成や新しい人材の受け入れ,さらにそうした人材のつながり方や組み合わせ方を工夫することで,産業雇用,生活といった諸要素がスパイラルに回る地域独自の制度を構築していく必要があろう。代替が難しい地域固有の資源こそが,地域に持続的な発展をもたらす可能性を秘めている。

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