社会政策
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現代日本の社会政策の評価と将来選択(<特集>現代日本の社会政策の評価と将来選択-社会政策学会第121回大会共通論題)
禿 あや美埋橋 孝文
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2011 年 3 巻 1 号 p. 3-12

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抄録

本稿は,共通論題の各報告を踏まえ,日本の社会政策の現在における到達点を評価し,今後の方向性と議論の基軸を明らかにするための論点を提起するものである。各報告を検討した結果政策論を断片的な個別政策の技術論に止めるのではなく,政策が前提とする人間像や社会像に自覚的である必要性と,政策論における「規範論」の復権が求められることが明らかとなった。しかし同時に,人々の自由や能動性を損なわない制度/政策のあり方を具体的に議論することの重要性も指摘できる。たとえば雇用政策において,包括無定量な正社員のあり方に象徴される企業への「過剰」な参加を是正し,非正社員であっても自立可能な処遇を整備することは,男性稼ぎ主の雇用と家族に依存する日本の生活保障システムを,新しい社会的リスクに対応できるものへと再構築するための基盤を提供するものとなる。このように,諸制度を貫く思想や諸制度の連動性を念頭に政策論議を行うことの重要性は今後さらに高まっていくと思われる。

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© 2011 社会政策学会
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