社会政策
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保健・医療・福祉・介護政策の「地域包括化」と社会イノベーション・パラドクス(<特集>現代日本の社会政策の評価と将来選択-社会政策学会第121回大会共通論題)
小笠原 浩一
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2011 年 3 巻 1 号 p. 41-54

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抄録

本稿は,社会政策が,分配的正義や社会的公正の達成といった静態的な目標に即して限られた資源を合理的に分配する機構としての役割を超えて,価値創造的な社会イノベーションを促進する原動力となりうるかどうかという観点から,わが国の保健・医療・福祉・介護といった基幹的な対人サービス政策に登場している「地域包括化」というマネジリアリズムの分析・評価を試みたものである。その際,オープン・イノベーションの視点から,政策の想定するサービスの使い手の「主体像」,サービスを使い手と協働で開発していく専門家の能力・期待役割,サービスを実証・機能化させるフィールドとしての「地域像」について,選択的な類型の組み合わせの可能性を指摘し,わが国の「地域包括化」の特徴とイノベーション・ドライブとしての硬直性を指摘する。その上で,社会イノベーションに寄与できる対人サービス政策の展開に向けた要点を指摘する。

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© 2011 社会政策学会
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