社会政策
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「介護労働の低評価」再考 : 日本の介護保険制度における介護労働評価の枠組み(<小特集>高齢者ケアの供給システムとサービス従事者)
森川 美絵
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2012 年 3 巻 3 号 p. 78-89

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抄録

介護保険制度は巨大な介護労働市場を生み出したが,近年では,介護労働の人材不足や従事者の劣悪処遇・低賃金等が社会問題化し,経済評価の再検討を迫られている。しかし,評価の枠組みや政策介入手段の合理性に関する議論は不十分である。本稿では,介護労働の経済評価を3つの次元,8つの枠組みに整理した。また,日本において介護労働の経済評価への主な政策介入手段となっている介護報酬に着目し,制度創設時の厚生省審議会資料の分析を通じ,介護報酬の基本構造と,そこ内包される評価の枠組みの特徴を明らかにした。訪問介護の介護報酬は,介護する者の基本的生活・市民権の保障とは異なる評価の次元・枠組みが主流である。他方で,「活動の可視化による評価範囲の拡大」の可能性は,比較的寛容に拓かれている。「介護を担う者の生活保障」が,「活動の可視化を通じた評価範囲の拡大」を通じてどの程度可能なのか,さらなる検討が必要である。

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© 2012 社会政策学会
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