社会政策
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主観的最低生活費の測定
山田 篤裕四方 理人田中 聡一郎駒村 康平
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2012 年 3 巻 3 号 p. 127-139

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抄録

本稿ではインターネット調査に基づき,主観的最低生活費の検討を行った。その目的は三つある。第一は一般市民が想定する最低生活費を計測することである。第二は主観的最低生活費が,尋ね方によりどれほど幅のある概念なのか,ということを確認することである。第三は生活保護制度と比較し,計測された主観的最低生活費がどのような特徴を持っているか把握することである。その結果,生活保護基準額は,単身世帯を除きK調査(切り詰めるだけ切り詰めて最低限いくら必要か質問)とT調査(つつましいながらも人前で恥ずかしくない社会生活をおくるためにいくら必要か質問)の主観的最低生活費(中央値)の間に位置すること,単身世帯では生活保護基準はT・K両調査を下回る水準となっていること,世帯所得が1%上昇しても主観的最低生活費は0.2%しか上昇しないこと,主観的最低生活費の等価尺度は小さい(=世帯に働く規模の経済性を大きく見積もる)こと,等を明らかにした。

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© 2012 社会政策学会
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