社会政策
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ケアをする人々の健康問題と社会的支援策(<特集>健康のための社会政策)
笹谷 春美
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2012 年 4 巻 2 号 p. 53-67

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抄録

本稿では,「在宅で高齢者を無償でケアする人々(介護者)」の健康問題に焦点を当て,先行の調査研究から,問題のありかを考察した。今日,伝統的介護者(長男の嫁)が減少し,高齢介護者,男性介護者,未婚子介護者等の新しい介護者が増加している。年齢,介護能力,経済的にもリスクを抱えたこれらの介護者は,平均よりも高い健康悪化や不安を抱えている。しかし,彼らの健康問題が本人はもとより被介護者の状況に与える影響については,十分に可視化されていない。介護者が"避けられない依存"をケアするために仕事や社会参加の機会を失い,健康を損ない自らが二次的依存者になってしまう状況は,個人の責任に帰せられない。社会的責任である。介護者が,介護と仕事の両立を通して人間として健康で豊な生活を獲得することは,良好な介護関係の持続や二次的依存の予防につながる。そのためには,従来の介護政策を超えた総合的な社会的支援策が求められている。

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© 2012 社会政策学会
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