社会政策
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日系ブラジル人の「基幹労働力化」 : 自動車部品メーカーを例に
植木 洋
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2012 年 4 巻 2 号 p. 117-128

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抄録

本稿は,自動車部品メーカーA社で働く非正規雇用の日系人労働者へのヒアリングによって,日系人労働者の「基幹労働力化」の過程を明らかにしたものである。1990年代以降の雇用弾力化による非正規雇用の恒常的活用によって,非正規雇用者は,正規雇用並みの能力発揮を求めるようになり,「基幹労働力化」していく。この動きは自動車産業では2000年代以降本格化し,A社では日系人労働者がその対象となった。同社が当初日系人労働者に求めた機能は,雇用の柔軟性とライン単純組付け作業の担い手であった。しかし,同一の生産工程に恒常的に入り,そのラインで複数の工程をこなしていくなかで,なかにはライン全体を把握する力を身につけるようになる人もいた。生産現場の責任者は,生産急増によって現場の日本人が人手不足にある状況下,高い能力をもつ日系人労働者を活用するようになる。こうして,正規雇用並みの働きをする「基幹化」した日系人が登場する。

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© 2012 社会政策学会
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