社会政策
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原発事故後の福島の子どもたちのおかれている状況(<特集1>福島原発震災と地域社会)
佐藤 幸子
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2013 年 4 巻 3 号 p. 28-37

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抄録

震災直後の情報隠蔽と県の「100ミリシーベルト安全キャンペーン」で,「福島にいても大丈夫」と思い込んでしまった人と,そうでない人との間で対立が起こった。家庭で,職場で,地域で意見が分かれ,「心がバラバラになる」という健康被害が出ている。県内の学校の75%以上が「放射線管理区域」という異常事態のなか,国が決めた学校の使用基準20ミリシーベルトは無用な被ばくを拡大させた。市町村は県から,県は国から指示がないと何もできないと言い張り,責任をなすりつけあった。2011年5月1日,危機感を持った保護者たちが中心となって「子どもたちを放射能から守る福島ネットワーク」を設立し,活動を開始した。取り組みの遅い行政に代わって除染作業を試みたり,市民放射能測定所を設立した。情報提供,避難や保養の取り組み,講演会や健康相談会の開催,安全な野菜を供給する「野菜カフェはもる」のオープンなど,子どもを守るさまざまな活動を行っている。

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© 2013 社会政策学会
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