本小特集は,自立支援に関する実際の取り組みのうち,「生活保護受給者チャレンジ支援事業」(通称:アスポート)とよばれる埼玉県の先駆的事業をとりあげる。本稿では,アスポートをはじめとして実際に行われている自立支援を課題とする政策の置かれている文脈を読み解き,本小特集を企画する意図を述べる。そして小特集を構成する3論文に共通するアスポートという事業の概要を説明する。本特集を通して検討するのは,現行の生活保護制度を前提として把握された生活保護世帯の「教育・就労・住宅」という3通りの問題と,それらの支援体制が模索された経過である。