社会政策
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労働における格差と公正 : 「1960年代型日本システム」から新しい社会システムへの転換をめざして(<特集>ジェンダー平等と社会政策)
遠藤 公嗣
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2014 年 5 巻 3 号 p. 11-24

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抄録

「日本的雇用慣行」と「男性稼ぎ主型家族」は1960年代の日本で強固に結びついた。この結びつきを「1960年代型日本システム」と呼ぼう。この社会システムは,日本経済を発展させる望ましいシステムとして是認され,存続してきた。しかし,このシステムは,ジェンダー間と正規非正規間の経済格差を特徴とし,その結果,女性と非正規労働者を差別していた。しかし最近では,「1960年代型日本システム」が存在する条件はなくなってきている。けれども,上記した経済格差と差別はなお存在している。このことは,日本社会の大きな社会問題になってきている。強固な1960年代型日本システムへの復帰は現在の社会問題への正しい解決策でなく,新しい社会システム,すなわち職務基準雇用慣行と多様化した家族構成を前提とする社会システム,を形成する努力が真の解決策であることを,私は主張する。そして,真の解決策の重要な一部は,同一価値労働同一賃金をめざす職務評価システムである。その研究開発の現地点を述べる。

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© 2014 社会政策学会
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